国際決済銀行(BIS)がCBDCを使った実証実験の実施を発表

国際決済銀行(BIS)は4月3日夜、CBDCを使った実証実験「Project Agorá」を発表。日本銀行、ニューヨーク連銀、イングランド銀行、フランス銀行、スイス国立銀行、韓国銀行、メキシコ銀行が参加。中央銀行と銀行部門とで、国境を越えた支払いのトークン化を検討する。https://www.bis.org/press/p240403.htm

日本経済新聞にも記事が掲載され、実験イメージが図解されている。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0323R0T00C24A4000000/

同記事に「中国はすでにCBDCの実証実験を広範囲で実施している」とあるが、中国では例えば中国四大商業銀行の中国工商銀行が4月3日に発表したデジタル人民元ウォレットの追加数は個人が1585万人、法人の企業ウォレットは134万社、新規加盟店は271万店という規模であるほか、地方の銀行でも数百万単位でデジタル人民元ウォレットや数十万単位のデジタル人民元加盟店が拡大中であり、同じ「実証実験」でも規模や広がり方が全く違う別物と考えた方がよい。実証実験を実施しているのは中央銀行だけではなく、中国人民銀行の方針に則り、全国区や地方の金融機関はもちろん、政府や自治体(地方政府)もそれぞれが活用方法を考えて新たな実証を展開している。

買い物代金の支払いに留まらず、例えばデジタル人民元の主要なパイロット指標で業界リーダーの中国建設銀行は、法人のオンラインバンキングや金融商品取引、賃金払いのほか、地方政府の課税や社会保障、調達や財政支払いなど自治体DX分野の金流デジタル化でも一定の成果を上げたり、自治体の淮安市では市営住宅取引センターと市営住宅積立金管理センターが協力してデジタル人民元既存住宅ローン事業を開始するなど、デジタル人民元の用途も大きく裾野が広がっている。

また、QRコードの不正が世界各国で多発する状況をふまえ、NFC(Type-A/Bベース)での取引が展開されている点にも注意が必要である。

日本におけるCBDC検討は、国内取引だけでは発行の判断に至る可能性は低いと思われ、ECB等との実証に注目してきたものの発行判断には至らず、今回、BIS、ECB、FRB、BOEなど重要なエンティティが協業するクロスボーダー取引の実証は、いよいよ発行判断に向けた重要な一歩になると期待する。一方で、中国のような裾野の広い国内の実証も必要であろう。