今朝の日経新聞記事「キャッシュレス、実らぬ還元競争」【記事に関する弊社代表解説】

 下記記事に誤りがみられる。EUの上限規制はインターチェンジフィではない。
キャッシュレス、実らぬ還元競争
EUはインターチェンジフィに上限規制があるとの記事は間違いである。
この記事の元の情報は経済産業省のこちらのレポート、
「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」第5回検討会 事務局説明資料
P.25に「EUが2015年に上限規制を導入」とあるが、そもそもこのレポートが間違っている。
2015年のEU発表内容はこちら。
Commission welcomes European Parliament vote to cap interchange fees and improve competition for card-based payments
よく読めば、インターチェンジフィそのものの上限ではなく、インターチェンジフィ構成要素の1つであるマルチラテラルインターチェンジフィに上限を設定すると書かれているのが分かる。マルチラテラルインターチェンジフィは、多国をまたぐ際に発生するフィで、ブランド会社に支払われるフィである。すなわちEUは1つの地域だから国をまたぐフィは取るなと言いたいところ、ゼロではなく上限規制すると譲歩している。
 インターチェンジフィ全体は主にイシュアに払われ、イシュアはこのフィを収入源として極めて発生率の低い不正利用(JCA統計の不正利用額÷クレジットカード売上高=約0.034%)対策をはじめ安全安心の確保にコストをかけている実態に鑑みると、安全安心なキャッシュレス社会の実現に水を差すことになりかねない誤った情報が記事化されたといえ残念でならない。
 さらに、20年4月の公正取引委員会のレポート『クレジットカードに関する取引実態調査報告書』も正確に読めば「引き続き注視するとともに、独占禁止法に違反する行為に対しては厳正に対処していく」と当たり前の結びとなっており、銀行ネットワークの手数料のレポートと比較すれば、問題視されていないことが分かる筈である。
 今回の記事は1つ1つの情報の信憑性を確認すれば容易に誤りが分かるものであり、あまりに杜撰と言わざるを得ない。日本最大の経済紙の記者さん達には、表面的な情報を寄せ集めて記事にするのではなく、掘り下げ調査や裏付け取材を愚直に行って正しい情報を発信していただきたいと切に願う。

代表 宮居

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